その時、二人が座るベンチの前を、マスクをして作業着を着た何人かの男たちが、ガソリンが入ったポリタンクを抱えて外野へと歩いていった。


「行こう。」

テツオは苦しそうに目を瞑り、頭を抱える尾上の手を乱暴に引っ張ると、ベンチを出た。


そして、二人がグランドから出口へと続く金網の扉に手をかけたとき、背後で巨大な炎が上がった。


その熱を背中で感じると、テツオは思わず天を仰いだ。