その朝、土門は困惑をしていた。


実家とも会社とも、一向に連絡が取れない。

東北へ行く新幹線や夜行列車は運休が続き、主要幹線道路は全て封鎖されているようだ。


そのような状況で取引先を回るわけにも行かず、電話で謝罪をしながら、古ぼけたビジネスホテルで悶々と過ごすしかなかった。

土門はシャワーを浴びた頭をバスタオルで拭きながら、部屋の角に置かれた小さなテレビのスイッチを入れた。

ブラウン管のテレビは、ぼうっと虚ろな音を発して徐々に明るくなっていく。


様々なチャンネルに合わせてみたが、どこも土門の街のニュースを報じ続けている。

その中でも、女子アナウンサーががなりたてるワイドショーは避け、比較的淡々と状況を伝えていた一つの局に土門は合わせた。