「起きたかな?」

亜季が目を覚ますと、新鮮すぎる畳の匂いが鼻をついて顔をしかめた。


亜季はかけられたタオルケットをめくると、重い頭を抑えながら体を起こした。

傍らには伯父が優しい笑顔で座っている。


ああ、そうだ。伯父の家についてから、あまりの疲れに居間で眠りこけてしまったんだ。

亜季はゆっくりと寝ぼけた頭を左右に振りながら、ぼんやりと窓の外を見る。


その光景に亜季は叫びにも似た声を上げた。


「義男伯父さん!いつから雨が降ってたの?」

「ああ…。三十分位前かな…。」

「どうして起こしてくれなかったの!」

詰め寄る亜季のあまりの剣幕に、伯父は圧倒された。


「すまん…、あまりにも気持ちよさそうに寝てたから…。」


落ち込んだように下を向きながらそう言う年老いた伯父の姿を見て、亜季ははっとした。