「ほらよ。」

テツオは左手一本で、手にした包みを軽く放り投げた。


それはきれいな放物線をえがいて、二つの金網を楽々に飛び越えると、小さな音を立てて亜季の足元の草の上に落ちる。

亜季は座ったままそっとそれを拾い上げると、そっと包みを開けた。


その中にはきれいに洗われたタッパが入っており、その上には几帳面そうな字で書かれた手紙が乗っていた。


「尾上は喜んでいたよ。」

「そう。」

亜季は手紙を見つめたまま、静かに言った。


亜季は自分を責めていた。

うかつな言動。

直らない。


そんな亜季の苦しそうな顔を、テツオはじっと見つめていた。

そしてしばらくの間黙っていたが、ふと口を開いた。


「野球やる。」

「え?」