結羽ちゃん、食べなと優くんは言うけど仲が悪いと聞いていたのにお母さんまで同席って…

結羽は頭の中がごちゃごちゃになっていた。

お父さんはお母さんとも普通に話しているし

「優くん…何か色々聞きたいことがたくさんあるんだけど」

結羽は優の耳元で話した。

「ん?何?」

「優くんはお父さんに何を話したの?」

「んー、卒業したら結婚したい人がいるって、保育士で、年上で丸い顔と丸い瞳が可愛い子って言った」

「卒業後の進路も相談するって言ってたよね」

「まあ決まってはいたけど確認だね」

「決まってたの?」

「うん、僕一人っ子って話したよね?」

「聞いたけど、仕事は聞いてないよ、保育士になるんじゃないの?」

「卒業したら資格は取れるけど僕はその保育士や子供や親の気持ちが知りたくて勉強をしてたんだよ」

「どういう事?保育士になりたいから資格をとるんじゃないの?」

「そういう人ももちろんいるよ」

「まあ、優からは言いにくいだろう」

小さな声がいつの間にかご両親に聞こえる声になっていた。

お父さんが話し始めた。

「まず、私の会社WOOD WORLD TOY(ウッドワールドトイ)は海外を拠点にしている会社なんだよ」

「……はい」

「海外で子供用の木のおもちゃを作っているんだ」

「木のおもちゃ…」

「最近日本からの注文も多くてね、日本に会社を作るんだ、そこを優にまかせるんだよ」

「えっ、優くんがおもちゃを作るの?」

「作らないけど(笑)、春から…日本支社として、この市に会社を立ち上げるんだよ」

「会社…優くんは立派な保育士になれるのに…」

「結羽ちゃんがそう思ってくれるのは嬉しいよ、だって僕は頑張ったんだもん、子供の事が分からない奴が子供のおもちゃを作ってもきっと売れないよ、園にも木のおもちゃはあっただろ?でも実際プラスチックが多いよね」

「まあ、軽いしね」

「子供達に木のおもちゃを使ってもらいたいんだよね、香りとか手触りとか、行く行くは工場も作りたいし林業との交渉とか色々やる事はたくさんある、だからごめん結羽ちゃん、僕は保育士にはならない」

「わかった……」

下を向いてしまったがちょうど次の食事が運ばれてきた。