「おかえりなさい、ママ」
「ただいま。美千香もおかえり。ごはんは?」
「まだ」
「先に食べててよかったのにー」
「お腹、空いてなかったから」
「そう?」
言いながらママは部屋で着替え始める。
私はごはんの準備をしようとキッチンへ向かう。
確か今日はパパは出張で帰らない日だ、と冷蔵庫から取り出したタッパーに入ったおかずを温める。
キャリアウーマンのママが忙しい仕事の合間を縫って、週末なんかに作ってくれているもの。
半分くらいは私も手伝っているけど。
温めている間に調理するだけの状態に下ごしらえして冷凍されたものの中から今朝、解凍しておいた豚肉を炒めていく。
あとは同じように冷凍してあった下処理済みの野菜で、簡単にスープでも作ったら完成。
テーブルの上には、きちんと栄養バランスの考えられた一汁三菜が並ぶ。
そこらのOLなんかより、私の方がよっぽど家事力あると思う。

