氷河ちゃんは面倒くさがり

「あの、よかったら今度」

「ごめんね、詠楽ちゃん!咲紀ちゃんほんとにもう出番だから!」


橘香さんの話を遮ってまで話すのだから、何かと思ったら大事な用事だった。

私もすみません、と頭を下げて自分のチームの所に向かう。



最初はテニスでその次がバスケ。嫌だなぁ。別に球技が嫌いとかいう事ではない。


絶対勝ちたいけど勝ち筋が見えなくなってきた。あそこまで運動神経がいいとは聞いてませんよ?先輩方?



「ごめんね、引き留めちゃって。良ければ試合が全部終わった後また会えない?」


流石の私でもこの誘いに面倒、とは言えない。けど、正直言って球技大会の後片付けやらなんやらがきっと、先生方から生徒会メンバー(私達)に押し付けられるだろう。


だから待たせてしまうかもしれない。どうしよう。



「あたしは全然大丈夫だよ!」

「え‥っと、行けたら行きます。ごめんなさい、本当に」



兎亜はノリノリで満面の笑みを見せている。

私だって行きたくない訳じゃない。だけどあのよく分からない所で厳しい月宮先輩の事だ。


きっとサボりなんて許さないし、私だって片付けとか普通に面倒くさいけどサボりたくはない。



だからこんなに曖昧な返事になってしまった。許して欲しい。そう考えている間にも時間は刻一刻と迫って来て、返事を待つまでもなく戻らないといけなくなってしまった。