氷河ちゃんは面倒くさがり

「こ、こんにちは」

「氷河さん、そんな堅苦しくなくていいよ?で、私に何か用事だったかな?」


にっこりと天使の様に微笑む橘香さんに思わず見惚れてしまう。

はっ、と我に返り、本来の目的を思い出す。



そうだった、こんな美形に囲まれてて忘れてたけどお礼を言わないと。私ったら仕事放棄するなんて、なんて事を!?


「はい。沢山の人を集めて頂いてありがとうございました。生徒会長に代わって感謝します」

「全然いいのに、お礼なんて。っていうか半分は蘭莉ちゃんのお陰だし」


ふるふる、と大きい瞳を閉じて首を横に振る橘香さん。

その度に見るだけでサラサラと分かる髪が揺れ、白い肌に影を落とすほど長い睫毛が光に当たる。


私もこんな美貌になりたいけど、絶対無理だから来世に期待しよう。

というか聖さんのお陰ってどういう事?聖さんはこの学校の生徒ではなかった筈。
なのにどうして‥?



「聖さん。どういう事ですか?」
「あぁ、えっと、その‥」


もごもごと濁して言う聖さん。いや、これは濁すに入れていいのか?何なんだろう。

言えない理由でもあるのかな?だとしても橘香さんが、聖さんが言えない事を言うなんて事はないと思う。



「言えばいいじゃん。氷河さん、これ見て貰ってもいい?」