氷河ちゃんは面倒くさがり

それからは兎亜が隣で熱狂的に応援する中、棒読みで私も一応応援をした。

自分が言い出した事だけど、ここまで本気で応援するとは思ってなかった。

何事にも真面目に取り組む兎亜の性格を舐めてた。



時間的にも終わりに差し掛かったその時、天音先輩が綺麗なフォームでシュートを入れた。


今、でしょ。

天音先輩を褒めて、兎亜にとっての天音先輩の株を上げるのは。



「兎亜」

「どうしたの?咲紀ちゃん」

「今天音先輩シュート入れたよね?」

「うん?入れたね」

「どうだった?」

「?どうだった、って何が?」



どうにかして兎亜の口から“格好良かった”“凄かった”などの単語を引き出そうとしたけど、鈍感兎亜は首を捻るばかりで一向に言わない。

あぁ。どうしよう。私が言って共感して貰うしかないか。



「天音先輩格好良くなかった?」

「確かにかっこよかったね」

「だよね!天音先輩格好いいよね」