氷河ちゃんは面倒くさがり

何より、もし天音先輩と兎亜が付き合ったら、月宮先輩も恋愛に大して興味を持ってくれるはず!そしたら私が付き纏われなくて済む。


よし、ここは全力で兎亜と一緒に天音先輩を応援しよう。

天音先輩の為に。延いては私の将来の為に!



「兎亜。天音先輩応援してあげてね?」

「なんで天音先輩?‥‥‥はっ!咲紀ちゃんが月宮先輩応援するからあたしは天音先輩って事だね!?了解!任せて、咲紀ちゃん!」


何か勘違いしてるけど大丈夫か。

月宮先輩なんて応援さえしたくないけど、フリでもしておこうかな。兎亜のやる気がなくなったら困る。


でもどうしよう。天音先輩、兎亜の応援姿が可愛すぎてバスケに集中できないかもしれない。まぁそこは私の知った所じゃないし。


どうでもいいか。そこまで考えるの面倒だし。



「試合開始!」


審判の声とホイッスルの音が体育館に響いて、月宮先輩達の試合がスタートした。

月宮先輩と天音先輩が協力してスリーポイントを決めた。よし、ここで応援してやろう。

「兎亜、応援してあげて?」

「任せて!天音先輩ーっ!月宮先輩ーっ!頑張って下さい!!」


ぴょんぴょん飛び跳ねて応援する兎亜。

ああ、可愛い。


天音先輩は兎亜を見て少し顔を赤くしたあと、スピードを上げた。作戦成功。
ちょっとは進展すると思う。

 あ、でも私も応援しないと怪しまれるっけ。



「ガンバッテクダサーイ」


棒読みで応援する。そんな私の声に気付いたのか、月宮先輩がちらっとこちらを見て、やれやれと言う様に首を振った。

何様ですか!?応援されてるんだから素直に頑張ればいいのに。これだから性格が悪い人は。