氷河ちゃんは面倒くさがり

「うん。そうなの。ここからの話は他の人には絶対秘密にして欲しいんだけど、大丈夫かな?勿論、兎亜ちゃんにも」

「平気です。兎亜に隠し事をするのは心苦しいですけど。こう見えて私、結構口堅いタイプなので」



兎亜に秘密、ね。ここに天音先輩の名前が出てきてない事を察するに、きっと天音先輩は知っているのだろう。
“秘密”とやらを。

今日で隠さなければならない新しい秘密が増えるのか。


正直自分の感情を抜きにすると、月宮先輩の秘密だって隠し通してきたし口が堅いのには自信がある。



「そう?ごめん、咲紀。宜しく。
まず私、蝶月恋華は“蝶月組”っていう組に所属する若頭補佐ね」

「若頭補佐‥?すみません、疎くて」


取り敢えず、恋華先輩が極道関係者っていうのは分かった。
そして、なんか凄い地位に就いているって事も。


「全然?咲紀は知らなくて当たり前。若頭補佐っていうのは副社長代理みたいな?」


成程。地位だけで言うと、月宮先輩の方が上っぽいけど、お互いにそんな事は気にしていないみたい。

充分恋華先輩も凄いですけどね。私の先輩方、大物すぎませんか‥?


「ちなみに恋華ちゃんは蝶月組組長の娘なんだよ」


組長の娘?

恋華先輩にちょっかいかけた男とか殺されるやつじゃん。私も気を引き締めないと。

っていうか月宮先輩も組長の息子でしたよね?本当何者なんですか。いや、さっき聞いたけど。