氷河ちゃんは面倒くさがり

「よ、宜しくお願いします‥!」


ちょっとびくびくしている兎亜。さっきまで泣きかけていたけど、驚いて涙も止まったみたいだ。
その気持ち、分かるよ。
恋華先輩も弥空先輩も美人だから。

兎亜も充分可愛いけど、こんな美形な人に囲まれたら萎縮しちゃうよね。



「先輩、順番は大丈夫なんですか?」

「咲紀ちゃん優しいねぇ。大丈夫だよ、私達後半のテニスにしか出ないから」

「予選はもう終わってるし、勝ってるしね」


そうですか、頑張って下さいね。とにっこり笑って先輩達に言う。

恋華先輩と弥空先輩は、生徒会に初めて来て柄にもなく緊張していた私に優しく接してくれた。

月宮先輩とは大違い。


「咲紀ちゃん、テニスも頑張ってね!」

「ありがと、兎亜」


空気をほぐそうと思ってか、唐突に話しかけてくれた兎亜に感謝する。

その朗らかな笑みに、思わず頬が緩む。

すると、私が微笑むのとほぼ同時に月宮先輩の顔が少し強張った。

そんなに私不細工だったかな?
いや、確かに先輩方は勿論の事、兎亜と比べても全然下の顔ですけど。


ちょっと顔に出すのはやめて貰っていいですか?

なんて言える訳なく、心の中に押し留めた。


天音先輩が兎亜の笑みを見た時、にやけるのを防ぐ為に顔を強張らせていたのは偶に見る。

けど、月宮先輩がそんな事する筈ないし。