氷河ちゃんは面倒くさがり

ーーーーーそして、時間は残り3分を切った。


最初に決めたシュートが効いたのか、私達のチームは相手と10点以上差をつけ、優勢に立てている。

やる気にみなぎっていた愛は勝てる、という思いが強くなったのか明らかに動きが素早くなっている。





すると、ヒュン、と私の頭の上をボールが凄いスピードで通過した。

取ると最悪突き指をしてしまうかもしれない位には速かったから、落ちた所で拾おうとボールに視線を戻す。


すると、ボールが愛の後頭部に当たりそうになっていることに気が付いた。

愛は流石に疲れたのか膝に両手を当てて、休憩している様で気付いていなかった。

他の人達は気付いていただろうけど、怪我をする事が怖いのか愛を身代わりに助かろうとしている様だった。




私は考える間もなく愛の方へ一直線に向かい、ボールを正面から受け止めた。



「いっ、」
「咲紀!?」


手の中で物凄いスピードで回転するボール。

掌が痛くて流石に声を上げると、愛が焦った様にこっちを振り返り、心配そうに叫んだ。


大丈夫、と愛に言うと、身体を内側に折り曲げ全身をフルに使って回転を止めた。

全く、どんな威力なの。バスケで出していい威力じゃないでしょ。面倒な。



止まったのを確認して掌を見てみると、幸いにも皮が少し剥けている程度で重傷ではなかった。

この程度だったらまだ活躍できる。



ある人は心配そうな目で、ある人はぽかんと意識が抜けた様に私を見ている。

そんな敵も味方も放り出し、自分が決めるべきゴールに向かう。