氷河ちゃんは面倒くさがり

天音先輩は文句の付けようがない程運動神経抜群だし、月宮先輩も言わずもがな。

それに、2人共背が高い。恐らく180以上はある。バスケとかはそれだけで有利。羨ましい。



「ほら咲紀!次バスケだよ!行こ!」

「んーとごめん。名前なんだっけ?友美(ともみ)明美(あけみ)?」


(めぐみ)よ!遠井(とおい)(めぐみ)!」

「ごめんごめん。人の顔と名前覚えるの苦手でさ」



手を合わせて友美‥‥ならぬ愛に謝る。
愛は女バスの1人で、1年で初めてスタメン入りしたという運動神経抜群な子だ。

おまけに普通に可愛い。



だけど愛とは何回か話した事がある程度で、そこまで仲がいい訳ではない。

なのに私が名前で呼ぶ事を許している理由は、彼女の無駄に広い人脈を使って兎亜を虐めてきた奴らを特定するのを手伝って貰っているから。

その点については感謝している。



愛の後を着いて行ってコートの真ん中までくる。
まずは1年生同士の予選。うちの学校は中々クラスが多くて、1つの学年で6クラスもあるから予選で1つに絞る。

他の学年もそう。
それで勝ったクラスがやっと本戦に出れる。ちなみに、あまりにクラスが多い為、2つのコートを使っての2戦同時進行。

今は私達C組とF組の戦いだ。



「咲紀、宜しくね?あんたに結果はかかってんのよ」

「まぁ頑張る。別に圧勝じゃなくていいんでしょ?結果的に勝てれば」

「そうだったんだけど、実は全試合を通してのMVPには学食1つ無料券が付くんだって」

「この学校学食好きね‥。確かに美味しいけど」



審判がコートに来るのが遅れているのをいい事に、愛と少し話す。
すると、初耳の情報を手に入れた。

学食無料券、か。
兎亜が欲しがりそうだな。しょうがない、兎亜の為にもMVP取って、あと優勝も掻っ攫いますか。