それからわたしの入院中、あの男性は毎日お見舞いに来てくれた。
いつもスーツに黒いコートを羽織っていて、仕事の合間に来てくれている感じだった。
「体調はどう?」
「だいぶ良くなって来ました。」
「そっか、それなら良かった。」
彼は、いつもわたしの体調を気にしてそんな会話をしては、「お大事にね。」と言って帰って行く。
毎日わたしの体調を気にして来てくれるなんて、優しい人だなぁ。
瑛太は、あれっきり来てくれないのに、、、
そして、退院の日。
担当医の診察でオーケーも出て、わたしは無事退院が出来ることになった。
しかし、退院予定時間になっても瑛太が迎えに来ない。
相変わらず、時間にルーズな人だなぁ、と思った。
瑛太は約40分遅れで迎えに来ると、謝りもせずに「寝坊した!」と笑って誤魔化していた。
荷物を持ち、会計をする為に受付に向かうと、「あ、水瀬エレナ様ですよね。水瀬様の会計は済んでおりますので、お帰りいただいて大丈夫ですよ。」と受付の女性に言われた。
えっ?会計が済んでる?
そういえば、前にも似たようなことがあった気がする。
ホテルのフロントだったっけ、、、
「会計済んでるなんてラッキーじゃん!」
瑛太はそう言うと、「ほら、帰るぞ。」と言い、1人先に歩き始めた。
誰がお会計してくれたんだろう。
申し訳ないなぁ。
もしかして、、、あの人、、、?
わたしは、毎日お見舞いに来てくれていた男性のことを思い浮かべていた。



