それから、珍しく和総さんと会わない日が5日間続いた。
大体2〜3日に一度は会って、和総さんの自宅にお邪魔させてもらっていたのだが、和総さんも仕事が忙しいらしく、なかなか会えるタイミングがなかったのだ。
わたしはというと、当たり前のように休憩なしの残業続き。
眠れていないのも5日間続いていた。
もう身体が限界だといっているのは分かっていたが、休みの土日を挟んでも気が休まることなく、眠れないのだ。
今日もみんな帰ったあとの事務所で1人残業していた。
すると、目の前がチカチカし始め、真っ白になったと思うと、わたしは気を失ってしまったのだった。
目が覚めた時には、まず後頭部が痛み、白い天井に薬の独特なニオイから病院だと気付く。
ふと、気付くとわたしの右手が温かく、誰かに手を握られていた。
「エレナ?」
エレナ?あぁ、わたしの名前かぁ。
わたしはその声がする方を向いた。
そこには、黒いコートを着た奥二重の切れ長のクールな瞳の男性がいて、心配そうにわたしの手を握り締めていた。
「エレナ、分かる?過労で会社で倒れていたんだよ。」
会社で倒れていた?わたしが?過労で?
その男性の言葉にわたしは「誰、ですか?」と答えたのだった。



