今夜の月は眠らない。


それからもわたしの日常は変わらなかった。
休憩時間を削って、残業する毎日。

救いだったのが、和総さんが早く仕事が終わった日に迎えに来てくれたことだった。

今日も20時過ぎまで残業していると、和総さんが迎えに来てくれた。

「エレナ、大丈夫?身体壊しちゃうよ?」

和総さんだけは、いつもわたしを心配してくれる。

わたしは、「大丈夫です。何とか頑張ります。」と言うと、和総さんと一緒に帰宅した。

「ちょっと待ってて。車置いてくるから。」

和総さんにそう言われ、わたしは車を降りるとマンションのエントランスへ向かった。

すると、マンションの入口横に見覚えのある人影が見えた。

その人影は、わたしに気付くと「エレナ、やっと会えた。」と言い、こちらに近付いて来た。

「瑛太、、、。」

街灯に照らされたその人影は、元彼の瑛太だったのだ。

「お前、こんな良いマンションに住んでるなんて、稼ぎ良いんだな。」
「、、、何しに来たの?」
「何って、エレナを迎えに来たんだよ。」
「はっ?わたしたち、別れたでしょ?」

わたしがそう言うと、瑛太は「あの時は、口が滑っただけというか、、、。」と言い、頭を掻いて誤魔化そうとした。

「だから、一緒に帰ろう?」

そう言い、瑛太はわたしの腕を掴んだ。