今夜の月は眠らない。


すると、会社のドアが開く音がした。

わたしはその音に顔を上げ、ドアの方を向いた。

そこに立っていたのは、切なそうに微笑む和総さんだった。

「まだ居たの?」

和総さんの優しい声にわたしは俯き、手のひらで涙を拭った。

「今、帰ろうと思ってたところです。」

わたしはそう言うと、和総さんに笑って見せた。

すると和総さんはわたしに近付いて来て、片手でわたしを抱き寄せた。

「毎日こんな時間まで頑張ってるんだな。」

そう言いながら、わたしの頭を撫でる和総さん。

わたしは、その言葉に涙が溢れてきた。

"頑張ってるんだな"

周りの人たちは、誰もわたしが必死になってることなんて気にもしていない。
誰もわたしの頑張りを認めてくれない。
むしろ、わたしの頑張りを消し去ろうとしてくる。

和総さんは、唯一わたしの頑張りを理解してくれていた。

わたしは和総さんの胸の中で声に出して泣いてしまった。

ずっと孤独だった気持ちが救われた気がした。