10階に着くと、エレベーターを下り、インターホンを鳴らす。
すると、ドアが開き、和総さんは顔を覗かせると、わたしの顔を見るなり「どうしたの?何かあった?」と心配そうに訊いてきた。
「和総さんに会いたくなっちゃって。」
わたしが照れ隠しで笑って誤魔化しながらそう言うと、和総さんは「ほら、中入って。」とドアを大きく開き、わたしの背中に手を添えて中へ入れてくれた。
わたしはリビングまで行くと、真っ先に猫バスにうつ伏せ状態で倒れ込んだ。
あー、、、落ち着く。
和総さんは倒れ込むわたしを見ると、「相当疲れてるみたいだね。」と言った。
「今日、休憩も取らないで残業もして来たんで、、、さすがに疲れました。」
わたしがそう言うと、和総さんは「えっ?!休憩取らないで残業?!」と驚いていた。
「もう1人の事務員の子が辞めちゃって、その子が担当してた仕事が全部わたしにきたんで、全然終わらなくて。」
「どうゆうこと?上の人たちは、手伝ってくれないの?」
「手伝ってくれるわけないじゃないですか。自分たちには自分たちの仕事があるから〜って逃げるような上司たちですよ?」
わたしの言葉に「信じられない」とでも言いたそうな表情を浮かべる和総さん。
すると、「休憩取ってないなら、お腹空いてるんじゃない?何か作ろうか?」と和総さんが言ってくれた。
「何か疲れ過ぎて食欲なくて、、、。」
「でも、少しでも食べた方がいいよ。待ってて、何か作るから。」
和総さんはそう言うと、キッチンに立ち、何やら作り始めた。
優しいなぁ、、、
和総さんが近くにいると思うと、気持ちが安心する。
わたしは、猫バスに横になりながら、和総さんが何か作ってくれているのを待っていた。



