すると、和総さんは「いやいや、あれは俺が勝手にやったことだから、請求するつもりはないよ。」と言うと、ワインを一口飲んだ。
「しかも、ここの家賃、安すぎですよね?!本当はもっと高いんじゃないんですか?!」
「特別価格だよ。もう契約書にサインして、契約は成立しているんだから、問題ない。」
「でも、、、あまりにも良くしていただいてて、、、わたしに何か出来ることないですか?!」
わたしがそう言うと、和総さんは少し考えたあと「じゃあ、たまにここに来て、俺の話し相手になってくれる?」と言った。
「え、そんなことで良いんですか?!」
「俺、意外と寂しがり屋なんだ。だから、エレナが話し相手になってくれると助かるよ。」
クールな和総さんが寂しがり屋?!
わたしはそのことに驚き、「意外ですね!」と言った。
「よく言われる。でもエレナが来てくれたら、俺は嬉しいよ。」
「じゃあ、たまにお邪魔させていただきます。」
「ありがとう。それなら、葡萄ジュース、ストックしておかないとなぁ。」
そう言うと、和総さんは優しく微笑んだ。
社長さんなのに、全然偉そうじゃなくて話しやすい和総さん。
わたしたちは何だかんだ色んな話しをして、気が付けば0時を回っていた。
さすがに帰らなきゃと、わたしは和総さんに玄関まで見送ってもらった。
「おやすみなさい。」
「おやすみ、エレナ。」
わたしは帰宅すると、寝る支度を済ませて、ベッドに潜り込んだ。
今日は、楽しかったなぁ。
和総さんと過ごした、あのほっこりとした優しさに包まれているような雰囲気の余韻がまだ残っている。
わたしは目を閉じると、和総さんの微笑みを思い出し、いつの間にか眠りについていた。



