「……なんで……」
そこには、自分の名前が一つもなかった。
遡って確認しても、一通もないのだ。
代わりに、頻繁にあった『木村剛』という名前。
まるで、人気アイドルグループのメンバーを組み合わせて付けたかのようだ。
ひどく胸騒ぎがした環は、迷わずその人のメールを開いた。
予想通り、それは全部環のメールだった。
しかも、全てが残っているわけではなく、半分ほどは削除されている。
自分の名前を、わざわざ偽名で登録する意味――だが、今はそれを考える余裕などなかった。
『木村』のメールに時々挟まっている、もう一人の人物を見つけたからだ。
『沙帆』という名前だけの登録に、嫌でも何かを疑いたくなる。
環の目に、じんわりと涙がこみ上げて来た。
でも――まだ決めつけたらいけない。
この目で真実を確かめるまでは……。


