メールチェッカー 【2】


「……なんで……」


そこには、自分の名前が一つもなかった。

遡って確認しても、一通もないのだ。


代わりに、頻繁にあった『木村剛』という名前。

まるで、人気アイドルグループのメンバーを組み合わせて付けたかのようだ。


ひどく胸騒ぎがした環は、迷わずその人のメールを開いた。




予想通り、それは全部環のメールだった。

しかも、全てが残っているわけではなく、半分ほどは削除されている。


自分の名前を、わざわざ偽名で登録する意味――だが、今はそれを考える余裕などなかった。


『木村』のメールに時々挟まっている、もう一人の人物を見つけたからだ。


『沙帆』という名前だけの登録に、嫌でも何かを疑いたくなる。

環の目に、じんわりと涙がこみ上げて来た。


でも――まだ決めつけたらいけない。

この目で真実を確かめるまでは……。