次第に遠くなる、後頭部の薄い後ろ姿を見つめながら、早人は愕然とする。 今回、プロジェクトのリーダーを務めれば、会社に自分を評価してもらえる最大のチャンスだったのに――。 そのために部長に気に入られようとゴマをするつもりもさらさらないが、わざわざ嫌われる必要もない。 しかも、自分の意思ではない部分で起こった出来事。 一切の思考回路が停止し、何が起こったのか、まだうまく理解することができないままだ。 立ち尽くす早人。 真実はまだ、闇の中である。 □ 証拠隠滅 □ / 完