シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

「あら!  ”シンデレラ”は”灰かぶり”っていう意味のあだ名(・・・)よ。本当に名前があったのは、お姉様だけよ」

 ……そうか。そう言えば”シンデレラ”という名前は、お話の途中(とちゅう)で私がつけたことになってたんだっけ。

 遠い昔、お母さんが「あなたは私の自慢(じまん)の娘。”名有り”の子」とよく言っていたことを思い出した。

 ジャボットという名前は、本当に特別(とくべつ)だったんだなあ。

 ところでその”ジャボット”という名前については、王子様がどこかに残したいと主張(しゅちょう)した。
「世界で一番スイートな名前だよ」

 スイートな名前に合うかどうかわからないが、実家の庭で()っていた羊をお城で引き取って育てることになったので、その羊につけることにした。

 もう少しで元シンデレラにつぶされるところだった羊は、お城住まいの待遇(たいぐう)となったのだ。



 今この町で唯一(ゆいいつ)の名有りキャラとなった《ジャボット》は、今日も平和に若い葉っぱをおいしそうに食べている。



【Fin】