気持ちがいいほどハッキリとシンデレラが答える。

「そもそもその場合(ばあい)って、私はお妃様(きさきさま)なんてガラじゃないって言ってるのに、ムリヤリ結婚させられるんでしょう? そのあげくに『やっぱりお姉様がよかった』って思われるなんて、地獄(じごく)じゃない!!」

「だろう? シンデレラも地獄(じごく)(ぼく)地獄(じごく)。そして、ジャボット。もし(ぼく)がシンデレラを選んだとしたら……泣くよね? 泣いてくれる、よね?」

「……泣きます」

「ほら、三人とも不幸だ!」

 言葉に反してほがらかに笑いながら王子様が言う。

「この先に何が起こるかなんて、わからない。でも少なくとも、今確実(かくじつ)後悔(こうかい)するだろうとわかっている未来を選ぶ必要は、ないんじゃないかい?」