シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

 ようやく(うで)をゆるめてくれたものの、手だけはしっかりにぎられたままだった。

「あの……この手は……?」

保険(ほけん)だよ。君が()げないように」

 素敵(すてき)スマイルを浮かべつつ、そこだけはゆずらない(かま)えを見せてくる。

「まあまあ、手ぐらい妥協(だきょう)しましょうよ、お姉様」

 王子様に負けないくらいニコニコとうれしそうなシンデレラ。もう、こんな状況(じょうきょう)ぜんぜん考えてなかった。

「とにかく、大事な話があるんだ、ジャボット。……それから、シンデレラ。君とも」


「私もですか?」
 言いながらゴソゴソとはい出てきたシンデレラは、しげみの中でハーブの葉をつぶしたらしくローズマリーの香りを(ただよ)わせている。