シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

 王子様が乗っている馬車(ばしゃ)からは死角になっていたはず、とタカをくくっていたあの日のことが、鮮明に思い出された。

 王子様をひと目見たくて、プリンス親衛隊(しんえいたい)の後ろをウロウロしていた挙動不審(きょどうふしん)な私。
 
 出てきた馬車(ばしゃ)親衛隊(しんえいたい)の動きに対応(たいおう)できず、ころんでしまった私。
 
 親衛隊(しんえいたい)に不審がられて、あわてて()げた私。

 どこから?!どこまで?!見られていたの?!?!?!?!

 カァ――――ッと赤くなる顔を両手で押さえ、その場に突っ伏してしまった。