なつかしそうに目を閉じて、長いまつげが(ほほ)(かげ)を落とす。
 
 王子様にとって、あのパレードは楽しい思い出なんだ。
 
 私にとっては心に(やみ)(いだ)くきっかけになった出来事(できごと)だったけど、王子様には良い思い出になったのなら、良かった……

「そんな中、一人だけ全く動かない人がいたんだ」
 王子様が目を上げて、私を見つめる。

 青い美しい(ひとみ)に私の姿が(うつ)る。

 あれほどまでにあこがれた(ひとみ)が、私を(うつ)している。