やがてその時がおとずれた。高らかにファンファーレが鳴り、広間の正面のドアを侍従(じじゅう)(うやうや)しく押し開く。

 そのドアの向こうから、国王陛下(こくおうへいか)王妃陛下(おうひへいか)がゆっくりと入ってくる。

 そして、一拍(いっぱく)おいて王子様が軽やかな足取りでその後に続いた。

 そこにいたのは、あのパレードの日に見た時より、お城の門の前で一瞬(いっしゅん)だけ見えた時より、さらに素敵(すてき)になった青年だった。
 まだ少年の匂いを残したパレードの日でも、既に国民全てを魅了(みりょう)するほどの美貌(びぼう)をたたえていたが、それさえ美しさにおいては未完成だったと知った。