シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

 最近になって自分でも料理をするようになったため、これだけの料理を用意するのにどれだけの人の手が必要だったのか、おぼろげに想像出来てめまいがしそうだった。

 でもなんといっても美しかったのは、この場に集まった人々だった。

 東洋から輸入(ゆにゅう)した(きぬ)金糸(きんし)銀糸(ぎんし)刺繍(ししゅう)したタフタ地を、ドレス本体だけでなくフリルやギャザーに「これでもか」とふんだんに使ったドレス、ドレス、ドレス…。
 
 色も春の空のような淡い水色、深い森のような緑、アメジストのような紫、夕陽のようなオレンジと(いろど)りの洪水(こうずい)のようだ。
 
 私が着るのをためらった真っ赤なドレスの貴婦人(きふじん)もいて、ドレスとおそろいの真っ赤な珊瑚(さんご)のネックレスとピアス、メイクも真っ赤なルージュでキメにキメていた。