「男爵家ご一行様でございますね。どうぞ、お通りください」
 
招待状(しょうたいじょう)を確認した門番(もんばん)案内(あんない)され、馬車ごと中に通される。

 門にも、馬車を()めるための中庭に続く道も、そしてお城の(まど)という(まど)からも、数えきれないほどの明かりが煌煌(こうこう)と輝く。
 
 昔お母さんと二人で住んでいたアパルトマンはもちろん、今住んでいる男爵家の屋敷(やしき)でさえ、こんなに贅沢(ぜいたく)にふんだんに明かりを(とも)してはいない。
 
 まるで夢でも見ているような気分になって、お城の中の舞踏会会場(ぶとうかいかいじょう)である大広間へ向かった。