シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

 そうよね、たった一度親衛隊(しんえいたい)の前でころんじゃっただけだもの。あの日のことをおぼえている人なんてきっといないわ。おぼえていたとしたって、私の顔まではおぼえていないだろう。
 
 一番肝心(かんじん)な王子様は、馬車(ばしゃ)の高さからだと、(だれ)かがころんだことにさえ気付かなかったにちがいないし。
 
 根拠(こんきょ)のない自信がめばえ、両親の言う通り今夜を楽しむ気分になった。

 後でそれが甘い考えだったことがわかるのだが………