シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

 王子様の馬車(ばしゃ)は止まることなくそのまま去っていく。
 
 多分、私のことなど目に入らなかっただろう。
 ……入らなかったと思いたい。

 はずかしさを押さえてやっと立ち上がると、親衛隊(しんえいたい)の人たちにかこまれているのに気が付いた。

「あなた、?」
 
「見ない顔ね」
 
「新入りかしら」
 
(だれ)か知ってる?」

 サ――――っと顔から血の気が引いた。私がジャボットだと、シンデレラの姉だと知られてはいけない!