同じ頃。
病院から少し離れた街にある"セラヴィ"では、
牧がかつての同期と、美女たちを挟んで
いつものようにシャンパンを開けていた。
「さぁ!今日もみんなドーンと飲んで
楽しむぞー!」
牧の掛け声で、露出の高いドレスを
身にまとった女子たちが歓声を上げた。
「ほら、まっさんも飲んで飲んで!」
「お前、相変わらずこんなことしてんのか」
まっさんと呼ばれた容姿端麗な男は、
一口飲んだグラスを置いてから
やれやれ、とため息をついた。
「えー、お兄さんもっと飲んでぇ?」
「そういうのはこの男だけにしてください」
「こわーい」
牧は腕に絡んできたキャバ嬢の
頭を撫でながら言った。
「まっさんこそ、相変わらず女の子の
扱いがわかってないねぇ」
「久々に連絡が来たと思えばこれか。
で、何のようだ?
こんな店じゃなきゃいけない理由があるのか?」
「この前、たまたま弟くんに会ったけど、
さすがにもうちょっと穏やかだったぞ?」
「…本題に入らないなら帰る」
「待って待って!」
牧は立ち上がろうとする同期を止めて、
膝に乗っていた女の子を下した。



