君は大人の玩具という。




消化器外科の手術は予定通りに進んでいた。

まさに順調。
ここまで完璧といっていいだろう。

だが、京子は干場が電話の前から
動かないことが気になった。

何度も受話器を置いてはボタンを押す、
を繰り返している。

しばらくして、電話は繋がったようだった。

だが、干場が「そんな!」と青ざめ、
その声に医師たちが振り返った。

干場の言葉で、初めて牧の手が止まった。


「心外の高田先生も馬場先生も、
 体調不良で来られない、と…」

「え⁉」


その場にいた全員の声が重なった。
牧を除いて。


「そうきたか…」


小さな呟きを、京子は聞き逃さなかった。