君は大人の玩具という。




京子は夜風に酔いを醒ましてもらいながら
時折空を見上げつつ帰路についた。

星が、綺麗だった。

一人で見る星も、
こんなに綺麗に見えるものなのか。

大通りから小道に入り、坂を上る。

病院から徒歩10分のところにある
京子が住むアパートは、
ほとんどが学生が住んでいる。

だが、明らかにここの住人でない人影が、
看板を照らす明かりの前に見えた。


「さすがストーカーって、言わないのかい?」


近づくほど、その姿が鮮明になった。

京子は今更驚かなかった。


「ちゃんと思っているので
 安心してください」

「はは、そうかそうか」


牧は組んでいた腕を解いて
京子の正面に立って言った。


「少しだけ、歩こ?」


京子はこくりと頷いた。