浅丘君はそう冷静な声で言った。

「…聡太には、俺の気持ちなんてわかんねえよ…！」

葉ちゃんは顔を歪ませて、体育館から出て行ってしまう。

「兄ちゃん、俺、レギュラー外れるようにコーチに…」

流石の涼太君もこの事態は緊急だと気付いたみたい。

だけど浅丘君は首を横に振る。

「お前は余計なことしなくていい。みんなも試合まで自分のこととバスケにだけ集中して。」

浅丘君…

「おい、聡太！」

体育館から出て行く浅丘君を久住君が追いかける。

このままじゃ良くないよ。

だってたとえ葉ちゃんが怪我でスタメンになれなくてもこんな気持ちがバラバラのままじゃ勝てない。

お風呂に入った後、あたしはこっそり部屋を抜け出した。

もうみんな疲れて寝てる。

一応葉ちゃんにメールを入れておいたんだけど、見てくれたかな？

外に出ると誰かがいる。

あたしはその人物に近づいた。

ごめんね、浅丘君。

余計なことだって、マネージャーだからって出しゃばったらだめだってわかってる。