「ね、緊張してる?」

あたしの心の内を見透かした浅丘君はいたずらっぽく聞いてくる。

「…うん、すごく。」

「やっぱりね、けど、俺もだよ!…すごく緊張してるよ。」

それを知って少しホッとする。

「それ以上に俺は嬉しい。愛と旅行できて楽しいし、嬉しい。…だから愛もそう思ってくれたら嬉しいな。」

浅丘君はあたしのことを考えて、今回のことだって計画してくれた。

本当はテーマパークなんかに行ったっていい。

むしろ周りの友達カップルはそういうところに一泊二日でいってる。

だけどお小遣いが少ないのと、一泊以上の外泊をりっちゃんが許してくれなさそうなのを配慮してくれた。

「あたしも嬉しいよ!」

そう言うと浅丘君は頷いて笑ってくれた。

着いたらまずは宿にチェックイン。

こじんまりとした静かな宿で優しそうなおかみさんが出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。かわいいカップルさん。」