奥にいた男の人がギョッとしたようにあたしたちを見てる。

泣き出した那奈さんに皓さんもびっくりしたみたい。

「いこ。」

皓さんは那奈さんの腕を掴んで歩き出した。

あたしも慌ててそれについていく。

ついたのは人気のない休憩所みたいなところ。

「…っ…ごめんね、ごめんね…」

謝る那奈さんと何も言わない皓さん。

那奈さん、こんなに謝るってことはやっぱり皓月さんを置いて家を出たこと、事実なんだなって思い知る。

どんな理由であれ皓さんは小さい頃、那奈さんに置いていかれたってことで記憶してるんだ。

「なんで…なんでそんなに謝るなら俺を捨てたの?」

皓さんが那奈さんを睨みつけながら言った。

「俺はいらない子だったの?邪魔だったの?」

目を赤くさせながらそういう皓さん。

ずっとそれを聞きたかったんだね。

答えを知るのはきっと怖いはず。

それなのに勇気を出して、全部振り絞って今日ここまでやってきた。