一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season

受験番号であたしは周りに誰もいない状態に。

えーっと、落ち着かなきゃ。

受験票に、消しゴムに、鉛筆…

よし、忘れ物なし!

五回確認した甲斐あったよ。

まずは国語から。

国語は比較的得意科目。

自信を持って落ち着いて解けたら大丈夫。

「今回って源氏物語から出るって本当?」

後ろの席から聞こえてきたそんな話。

「えっ?どこ情報?」

「塾の先生が言ってた。去年はなんかよくわかんないやつから出たみたいよ。」

そ、そうなの!?

源氏物語?

あたし、登場人物多すぎて苦手なんだよ〜〜!

って!

こんなとこで惑わされてちゃだめ!

今こんなことで不安になるのなら古文の単語でも一つでも頭に叩き込んでおくのよ!


「では、はじめてください。」

ついに始まったセンター試験。

なんだか今まで受けてきた試験とは空気が全然違う。

目の前に置かれた答案。

あたしは一つ深呼吸をしてゆっくりと開いた。