「…今日の放課後、また迎えに来る。」

そう言うと浅丘君はまた爽やかに教室から出ていった。

あたしはポケーっとしながら席に着いた。

「愛、今の人って確かD組の浅丘聡太よね?なんで愛にわざわざ電子辞書借りにきたのかしら。」

こ、これは!

あたしの彼氏だからダヨーーーン!

っていっちゃうチャンス!?

「あ、そういえばバスケ部だっけ、彼。だからか、なるほど。」

ええっ?

納得しちゃったの!?

もうお弁当の続き食べ始めているし!

ああ、結局また言えなかった…

そんなこんなで放課後が来てしまった。

「なにしてるの、愛。ケーキバイキング行くわよ?」

そしてまだ断れずにいるバカなあたし。

「み、ミカリン…あたしね、」

「愛!」

タイミングがいいのか悪いのか、教室の入り口から大好きな声が聞こえた。

「あっ、ちょうど良かった!これ、電子辞書、助かった!ありがとな!」

隣にいたミカリンに浅丘君が電子辞書を手渡す。