全力疾走したからか公園に着いた頃にはすっかり体がポカポカしていて。

もうきてるかな?

まだかな?

あ、浅丘君の自転車だ。

キョロキョロしていると誰かがこちらに向かって歩いてくる。

「愛!」

立っているのは二ヶ月ぶりにまともに話す浅丘君だ。

本当に、浅丘君だ。

「ごめん、こんな遅くにしかも寒いのに呼び出したりして…お兄さんたち大丈夫だった?」

…浅丘君、浅丘君…!!

あたしは何も考えずに浅丘君の胸に飛び込んでた。

身体が、勝手に動いてた。

心がそうしたいって言った。

「あ、愛…?」

「ごめんなさい、ごめんなさい…っ…勝手なことばっかり言って、勝手なことばっかりして…」

嫌いになられてもおかしくない。

勝手すぎるあたし。

もしかしたらこの呼び出しだって正式にちゃんと別れる話かもしれない。

「…ちょっとだけ。」

へ?

「ちょっとだけ怒った。だって俺、話してくれないとわからないから。」