今から…

部屋の中にいる玲はもう集中モードでシャーペンをしきりに動かしている。

りっちゃんは無事おせちを作り終えて安心したのかまだ9時だというのに寝てしまった。

真兄たちは下にいるけどどうにかなるだろう。

だけど、このまま会ってしまっていいの?

自分から距離を置いておいて勝手すぎない?

会いたいか会いたくないかで言ったらもちろん会いたいに決まってる。

話したいに決まってる。

こんなモヤモヤを抱えたまま、年を越したくない。

「…うん、」

『じゃあ家の前まで行くから、玄関で待ってて。外寒いから。』

こんな時でもあたしに気をつかってくれる浅丘君。

やっぱりあたし、浅丘君が好きだ。

そっとコートを着て下に降りる。

今ならこっそり出れるかも。

「あれ、愛?」

うっ!!

たまたまトイレにでも行くのかリビングから出てきたのは優兄。

けど、優兄でよかった。

「どこか行くの?」

「うん、ちょっと…お願い、りっちゃんたちには黙ってて!」