その夜、あたしは特に見たいテレビもなかったので部屋で勉強。

玲も受験生だからか机に向かっていた。

そろそろ寝ようかな。

明日は1日、休んでもいいかな。

そんなことを考えて時間を確認するために携帯を開く。

すると手の中の携帯が震えた。

…!?

画面に表示された名前。

それはずっと、忘れられなくて頭の中にずっとあった名前。

「…うるさいよ、早く出なよ。」

玲に睨まれあたしは携帯を持ってベランダへ。

ベランダには刺すような冷たい空気が流れていてさっきまであったかかった指先がどんどん冷えてくる。

「も、もしもし…」

『もしもし、愛?』

変わらない、大好きな人の声。

声を聞くだけで涙が出そうだなんてあたし、相当重症だ。

『ごめん、突然電話して。』

「ううん、…」

浅丘君、電話してきてくれた。

あんなにひどいことしたのに。

『あのさ、今出てこれないかな?少しだけでいいんだ、話がしたい。』