外に出ると冷えた空気が容赦なく身体を刺す。

寒い!

最近部屋の中でばかり勉強してたから頭がカーンって冴え渡る感じがして嫌じゃないかも。

「愛姉も玲兄も春からいなくなっちゃうんだよね…」

駅までの道を歩きながら直君がポツリと言う。

「合格すれば、ね。」

「するよ、なんか絶対そうなる気がするもん。」

あたしはともかく、玲は絶対合格するだろう。

だってもともと何にもしなくたってあんなに勉強できたのに本気出したらそりゃあすごいに決まってるよ。

「俺ね、前まではこうやって環境が変わるの、怖かったんだ。向こうにいた時も、こっちにきた時も、家族が増えた時も、変わるたびにまた一つずつ大切にしてたもの無くなっていくみたいでさ。」

日本に来たばかりの時の直君、相当荒れてたもんね。

今じゃ信じられないけど同級生と喧嘩したり、りっちゃんにも真兄にも喧嘩腰で。

だけど当たり前だよね。