無理やり寮に?

どういうこと?

「愛、もう遅いから帰って。お兄さんも心配するよ。」

先生が言ったけどあたしは後ろの皓さんの手から目が離せない。

あたしも知りたい、本当のこと、皓さんのこと。

「あたしも行きます。話、聞かせてください!」

「愛…」

りっちゃん、ごめんね。

けどあたし、自分のことは自分でしなきゃ。

あたしはそのまま、皓さんに言った。

「一緒に行きます、大丈夫です。」

皓さんはとても怯えた目であたしを見てた。


3回めの神崎家。

まさかこんな形で行くことになるとは。

玄関先であたしたちを見た誠司さんは一瞬驚いた顔をしたけど、快く家の中に招き入れてくれた。

皓さんは誠司さんと一切目を合わせない。

茶の間に通されるとあたしと皓さんは隣に、誠司さんと先生は向かい合う形でテーブルに座った。

「…皓、おかえり。」

誠司さんが言っても皓さんは下を向いたまま。

テーブルの一点を睨みつけるように見つめている。