一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season

「東京にでて三年目、毎日のように送られてきてた沙和さんからの手紙がなくなった。沙和さんは亡くなった。また俺の大切な人がなくなった。」

皓さんの目にはいつのまにか出ていた月が映ってる。

こんな時にだけど綺麗だと思った。

「…今日はここまで。またね。」

ベンチからたつと皓さんはまた闇の中に消えていった。

あたしを恨んでる人。

あたしを憎しみの対象にしなきゃどうしたっていられない人。

暁ちゃんを誰よりも大切に思っていた人。

あたしのせいで奪われた人。

「…ごめんなさい…」

口からこぼれていたのはそんな言葉。

もういないのに、謝ったって仕方ないのに。

誰になにを謝ってるのかわからない。

あたしが悪いのかな。

あたしさえいなかったら、こんなことにはならなかったのかな。

あたしはどうすればいいんだろう。

どうしたら皓さんの気は済むのかな。

あたしにはなにができるのかな。