「愛、手…！」

浅丘君があたしの手を握った。

浅丘君って実はさ…実はね…

「やきもち妬き…？」

「えっ！？」

あれ！？

あたし声に出してた！？

ど、どうしよう…

怒ってる？

恐る恐る見上げた顔は暗闇の中でもなんとなくわかるほどに赤い。

「…そうだよ、俺、思ってるよりもずっと嫉妬深いし、独占欲強い。」

ふてくされたようにいう彼の姿が珍しくて、また好きだなあ、って思う。

3回目の文化祭で何枚も何枚も層を重ねていくみたいに好きな気持ちが増えていく。

「後で涼太、しめとく。」

そう言う浅丘君なんだかかわいい。

「そうだ、愛の弟はいなかったよね。」

そういえば直君はいなかった。

なにしてんだろう、咲耶ちゃんと一緒に実行委員だっけ？

「あーいちゃん、そーたくん！」

廊下の向こうからスキップしてランランで駆け寄ってくる姿。

いつにも増してテンション高めの葉ちゃん。