ていうか玲さん!

舞台の上だよ!?

あくび噛み殺してないでさ!

ちゃんと浅丘君の指揮みてよ!!

「ねえねえ、あの指揮者の先輩かっこいいね!」

前にいた一年生の照明係の子が隣の子に言う。

「ほんとだ!爽やかで少女漫画に出てきそう!しかもうちのクラスの浅丘涼太に似てない?」

そりゃあ似てますとも!

だって涼太君のお兄ちゃんだもん!

「あ、でもあの端っこの先輩もかなり美形!ほら、あのやる気なさげな…」

「え!知らないの!?あれが伝説の一ノ瀬玲先輩だよ!」

「ひええ!かっこいい…いや、美しい…」

なーんか複雑な気分になるのはなぜ?

いや、めっちゃくちゃ眠そうだよ?

全然今かっこいいところじゃないから!

「けどさけどさ!一ノ瀬直君もやばくない?あの可愛さは罪だよね、私らでもかなわないもん。」

「そうそう、あそこの一家の遺伝子どうなってんだろうね?そういえばお姉さんもいるんでしょ?まだ見たことないけどきっとものすごい美人なんだろうなー!」