一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season

人ごみをスイスイよけてこちらに向かって来る女の人。

「凛太郎ー!」

スラリとした手足と短いショートカットの髪の毛、小さな顔にはっきりした目鼻立。

この美人さんはもしかして…

「俺の彼女の、高宮千晴!」

「誰が彼女だ!」

どつかれてもなお笑顔の凛太郎さん。

もしかして、M?

「はじめまして、凛太郎と真と同じサークルの高宮千晴です!」

「は、はじめまして…」

おや?

直君、何照れてるの!

もしかしてこういう人がタイプ!?

「直、こいつはあかんよ。こいつね、実は…」

「俺、男だから。」

へ、へえ!?

男の人!?

「やっぱり女に見えるねんて!」

「マジかよ…」

でも凛太郎さんが好きな人って…

「あ、俺の片思いの相手はこいつ違うからな。千晴のこと好きやけど、俺は女の子好きやし。」

そうなんだ…

にしても本当に、綺麗な人。

「千晴さんってハーフなんですか?」

「タメでいいよ、うん、そう。直君?だっけ。君もだよね。」

「俺はクォーターです。」

千晴さんも帰国子女で高校から日本にいるらしい。

そのせいか二人は意気投合。

綺麗な顔もどことなく似ていて、まるで本当の兄弟みたいだ。