こういう時のりっちゃんは本当に頼りになる。

「その大学、かなり難しいんじゃないの?玲兄勉強してるとこ見たことないんだけど。」

直君が言った。

そうだ、玲が今まで熱心に勉強してるところなんて一度も見たことない。

高校受験の時だってあたしが必死こいてヒイヒイ言いながら勉強する横でのんきにみかん食べてたもん。

「勉強してるよ、ちゃんとね。」

そっか、みんな進路をもうしっかり決めてるんだ。

あたしもなんとなくすみれが丘の栄養科にいって資格とりたい、なんて思ってたけど具体的な勉強内容や大学のことを知らない。

ちゃんとオープンキャンパスにもう一度行ったり、先輩の話を聞いたりしなくちゃ。

なんだか焦る。

置いてかれてるような気がする。

お風呂から上がり、部屋に入ると玲が机で何か書いていた。

「何書いてるの?」

「進路面談の用紙。志望動機とか書くやつ、やってないの?」

れ、玲さん…

あなたそんなことするの!?

「…顔に出てるよ。」